アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

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美しい妄想映画『薬指の標本』

ホルモンのバランスが崩れて、意味不明なエロい夢を見ることって、たまにありませんか?私は月1くらいであるのですが、この「薬指の標本」という映画は、そんな夢を美しく映像化したような、不思議でどこか怖い映画です。小川洋子さんの同名小説をフランスの女性監督が映画化した、2005年の映画です。私は小川洋子さんの本を読んだことがないのですが、これは原作をほぼ忠実に映画化しているらしいです。

『働いていた工場で、誤って薬指の先を切り落としてしまったイリスは、仕事を辞め、港町へと引っ越した。その町で彼女は、不思議な標本室で、標本技術士の助手という新しい仕事に就く。そこは、人々が「永遠に遠ざけたいと思う品々」を標本にしてほしいと集まる場所だった。ある日、イリスは標本技術士の男から一足の靴を「毎日履いてほしい。僕が見ていなくてもいつも。」とプレゼントされる。その靴がなじむにつれ、イリスは彼に夢中になっていく。』

ファンタジー映画ではないけど、すべてが現実離れしていて、一度観たら忘れられない何かがあります。火事で家を失った少女が家の焼け跡に生えたキノコを標本にと、持ってきたり。そんな仕事自体、幻想的です。美術もさりげなくて、すごく変わったことをしているわけではないけどどこも綺麗なのです。廃墟とか、枯れる手前のバラに美しさを感じるような…。映像も光が綺麗。イリス役の少女(フランス人モデルで、演技はこの映画が初めてらしい)の若々しくて危うい、官能的な雰囲気にも衝撃を受けます。

標本技術士の男も独特な雰囲気で、イリスのことをじーっと見ていて、2人とも口には出さないけど妄想しているのがわかる映画なのです。だからなのか、全体的に現実味がないのです。「靴に魔法をかけた」とか「妄想と現実が交錯している」とか「標本室は本当は実在しない」とかそんな捉え方も出来ます。監督も実際「青髭」というシャルル・ペローの超ダークな童話(禁断の部屋で次々に女を殺していく男の話)が想起されるはず、とインタビューで言っていました。たしかに標本室=禁断の部屋ともとれます。
でもポイントはイリスが徐々に惹かれていくというところ。彼女が標本技術士と怪しい関係になるところを想像するシーンが印象的でした。きっと女性はみな男性から「怖いくらい視線を感じたい」とか「密室で気まずくなりたい」とか「自分を綺麗にみせてくれるプレゼントを貰いたい」とか、そんな欲望が潜在的にある生き物なのだろうと思いました。

幻想的で美しい妄想映画、特に女性に観てもらいたいです。
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by pop-cult | 2009-06-19 00:21 | 外国の映画