アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox

天才ギリアムの世界『Dr.パルナサスの鏡』

大好きなテリー・ギリアム監督の新作「Dr.パルナサスの鏡」観てきました。撮影の途中に主演のヒース・レジャーが急死してしまったことで、一時は制作中止と言われていましたが、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが4人1役としてヒースの役を演じ、なんとか完成させたという、かっこよく言うと奇跡のような映画です。

人が心に隠し持つ欲望の世界を見せる「イマジナリウム」という鏡。「不死」と交換に娘を悪魔に差し出す約束を交わしてしまったパルナサス博士。鏡を通り抜ける度に顔が変わる謎の青年トニー。旅芸人の一座から逃げ出したい少女ヴァレンティナ…。この映画のストーリーを説明するのは難しいですが「ギリアム監督がパルナサス博士に自身の人生を投影させたような自伝的作品」というのが一番納得のいく説明だと思いました。

彼の映画はいつも、深いメッセージとか教訓のようなものは見えてこない代わりに、彼自身のアイデンティティというのか、妄想というか、妙なプライベート感が出ている気がします。一応ファンタジー系映画が多いのに、その映画が持っている空気は「ファンタジー世界」の空気ではなくて、結局いつも「監督の脳内」の空気だと感じます。うまく言えないけど、そんなふうに感じる監督ってテリー・ギリアムしかいないです。
今回の「Dr.パルナサスの鏡」はそんな監督の脳内が今までより更にストレートに出ていると同時に、エンターテイメントとしてもしっかりみせるぞ!という意気込みのようなものも感じました。自己満足と、商業映画、その2つのギリギリの部分で遊んでいるような…。「冷静」と「情熱」のバランスがとれていて、いつものギリアムらしい空気もだしつつ、見やすさもあって最強だと思いました。大袈裟に聞こえると思うけど「こんな映画が観たかった!」って心で叫んでいました。

ヒース・レジャーは「ダークナイト」のジョーカー役や、ギリアムの「ブラザーズ・グリム」でも演技がうまい役者だとは思っていましたが、「Dr.パルナサスの鏡」を観て彼の魅力を再発見しました。ちょっとハイテンションな人物なので安っぽくなってしまいそうなところを、彼が持っている独特な色気と暗さが役に深みを与えていました。あんなに豪華な役者が集まって同じ役を演じていますが、ヒース・レジャーの存在感が圧倒的でした。やっぱりそう考えれば考えるほど、彼の急死は悔やまれます。
「鏡に入ると顔が変わる」という設定も、違和感は全くありませんでした。最初はすごい開き直り方だな〜とびっくりしていたけど、完璧に計画通りに作ればいいってものじゃなくて、気がおかしくなりそうな悲しい出来事だってチャンスに変えた強さに感動しました。

それにギリアム映画で私が特に好きなのは、凝りに凝った美術です。今回も「バロン」を初めて見たときの感動を思い出させてくれました。現在のロンドンに突然現れる今にも壊れそうな馬車。それが開くと天使やら偽クレオパトラやら口から蛇を出すおっさんやら、目玉や太陽が描かれている舞台が登場します。始まってすぐに鳥肌が立ちました。ぼろぼろの書き割り、ペラペラの鏡、そうかと思えば鏡の中の世界はほとんどCGで作られた幻想的できらびやかな世界が何パターンも登場します。きらびやかとは言っても、悪魔が見させている世界なので、急に牛の死骸が浮いた湖(?)とか不気味なシーンも登場するところがまた面白い!衣装も独特だし、リリー・コールもお人形のようなかわいさです。ビジュアル面だけをとっても完成度が高すぎです。

まだ1月だけど、私としては既に今年一番の映画ではないかと思っています。この映画の魅力を語りだすとキリがないです。妄想映画がやっぱり大好きです。それにテリー・ギリアムは唯一無二の存在です。ちょっと刹那さも残る映画ですが、気になっている人は劇場の大画面でぜひ観てほしいです。私はもう今からDVDが出るのを楽しみにしています…。

b0112607_0124335.jpg
b0112607_013612.jpg
b0112607_0131592.jpg

[PR]
by pop-cult | 2010-02-03 00:25 | ファンタジー映画