役者に注目した「シャッター・アイランド」と「キャデラック・レコード」
2010年 04月 28日この映画は本編の前に「謎解きのヒントが随所にちりばめられてい るので、皆さん、表情など見逃さぬように」的な文章から始まります。その演出って…どうしてここまでハードルをあげたのか、自ら首を絞めるような真似をしているのか、よく分かりません。つい「シックスセンス」と「ユージュアル・サスペクツ」と比べてしまう と“衝撃のラスト”とまでは言えないというのが正直な所です。最初の文章のおかげで無駄に深読みさせられるし、あの文章はいらない気がしました。それに試行錯誤して作ったというより「これやっとけば面白いよね」的な、妙にこなれた印象を受けてしまいました。それでも飽きずに楽しめたのは確かです。その理由は出演者にあると思いました。
私の周りにはアンチが多くて可哀想なディカプリオは、確かに「タイタニック」以前のような美しさは無いですが、主役だけあってオーラがあるなーと感じました。映画そのものは好きではなかった「ブラッド・ダイヤモンド」(ディカプリオ主演)でも同じことを 感じました。
「シャッター・アイランド」の前半では普通の船酔いした刑事さんでしたが、後半ではちょっと「シャイニング」のジャック・ニコルソンが降臨していました。
ディカプリオの相棒役のマーク・ラファロはとくに特徴のない役でしたが、やっぱり今回も素敵でした。あの優しい顔、意外にかっこいい声、ナゾの存在感。その辺にいそうでいない味が役者には大事なのだなーと感じました。
ベン・キングズレーは何の映画に出ていても「あ、ガンジーの人だ」と毎回思ってしまうのがちょっと残念なところですが、親切そうに話していてもどこが怖い不思議なルックスが、いい人選だと思いました。
そしてミシェル・ウィリアムズ!やっぱりかわいいです。今回は全くかわいい役ではありませんが、暗い役が似合います。ナゾがあったり、トラウマがあったりするような重〜い役をこれからもどんどん彼女にはやってもらいたいです。
ちなみに宮崎あおいさんにも暗〜い役をリクエストしたいです。似合うから。
出演者が良かった映画と言えば、大好きなエイドリアン・ブロディ主演の「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」もそうでした。
ポーランドの移民の青年がシカゴで黒人用クラブを経営していて、そこで出会った才能のある黒人のミュージシャンを売り出していく話です。実在するシカゴのブルースレーベルの伝記的な映画で、私にとってはとくに興味がある話ではなかったのですが、見始めたら全く飽きることなくしっかり観ていました。きちんと完成されている映画という印象でした。
エイドリアン・ブロディはやっぱりうまいです。どんな役をやっていても馴染んでいます。でもこういう普通な役を観ていると、ついもっとクセのある変な役をやってほしいという気持ちが生まれてしまいますが…。
ビヨンセは金髪のカツラが恐ろしく似合っていなかったけど、歌声はかっこいいです。音楽映画にはどんどん出てほしいと思いました。「ドリームガールズ」観なくちゃ!です。
モス・デフは「僕らのミライへ逆回転」を観て以来ちょっと好きな役者です。もともと音楽の人らしいので、リアルで良かったです。
話そのものに魅力を感じられなくても、役者によって楽しめる映画ってあるものだな〜と感じました。その逆も又然り。
「シャッター・アイランド」を観た人がいたら、一番最後のディカプリオの一言をどう捉えたのかぜひ聞かせて下さい。