アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox

童話的ホラー「パフューム  ~ある人殺しの物語~」

『18世紀、悪臭の立ちこめるパリで、誰よりも優れた嗅覚を持って生まれたグルヌイユ。どんな匂いにも敏感で、あらゆる匂いに興味を持っていた彼は、ある日今までに出会ったことのない素晴らしい匂いに出会う。それはある少女の匂いだった。その匂いに魅了されてしまった彼は、誤って少女を殺害してしまう。それでもその匂いが忘れられず、調香師に弟子入りし、香水の製法を学んだグルヌイユは、異常な執着心で「その匂いを嗅いだ人の心を惑わせてしまう」ほどの香水を作ってしまうのだった。』


2007年に劇場公開された映画で、私はDVDになってすぐに1度観ていたのですが、その時は好きになれませんでした。でもベン・ウィショーが気になって再チャレンジ。不思議なことに映画って時間が経ってから観ると印象が変わるときがあるもので、今回はかなり楽しめました。

主人公グルヌイユを演じたベン・ウィショーは『ブライトスター』の時とは大違いで、同じ顔なのに別人で、気味が悪かったです。役者ってすごいと改めて感じました。この映画はまさにグルヌイユの伝記的映画だから、80%はベン・ウィショーのシーンなんです。だから彼の演技がダメだと、映画もダメになっちゃうと思うけど、彼は「何かに取り憑かれた人」の顔をしていて、妙な説得力がありました。殺してしまった少女の匂いを狂ったように嗅ぐシーンが一番気味が悪かったです。

映画全体の雰囲気は、舞台が18世紀のパリなので、ちょっと暗くてちょっと汚いけど、一応古き良き時代の空気が漂っているのですが、グルヌイユが生まれた場所なんかは死んだ魚が大量に放置されているような汚い市場なので、ものすごくグロテスクです。『ブリキの太鼓』級です。「悪臭」も含めて、匂いを感じさせるシーンは丁寧で、想像力をかき立てられます。衣装も美術も良いです。

その代わりに、話の展開はちょっと雑に感じるものがありました。「それ必要?」ってところで急に人が死んだり、空撮というのか、いかにもハリウッド映画!って感じの演出がたまに登場して、そこだけは少し鼻につきました。
登場人物のキャラクター設定もなんとなくザックリしてる印象があったし、私の希望では、脇役にもっとマニアックな役者を使っていたほうが、話に入り込めた気がして残念でした。(きっとそこには大人の事情があるのだろうが…)

生まれながらの才能に、可哀想な生い立ちと、主人公のキャラクター設定も極端というか、いかにも「お話の中の人」なのですが、そんな色んなツッコミどころを忘れさせてくれたのは、役者の演技力と美しい映像、あとは最後のあり得なさすぎるオチでした。

今まで散々驚かされながら、最後にはまた「えー!?」って言いたくなるような、変な潔さまで感じられるオチ…。初めて観た時は「なんだそれ…」って思ったけど、今回は急に「この映画はサスペンスじゃなくて、民話とか童話みたいなもんなんだ」って思えたので自分の中で腑に落ちたというか、やけに納得しました。
グリム童話とかって、変に話の展開が早くて、それでいて最後は救いがなかったり、戒めみたいなメッセージがあったりして、もやっとして終わるものが多い気がしますが『パフューム』もその後味が似ていました。

明るい気持ちにはならないけど、他にはない、ちょっと気持ち悪いけど心地いい疑問が残る映画です。わりとホラーですが1人で夜に観るのをおすすめします。

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by pop-cult | 2010-07-08 00:18 | ホラー映画