アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox

清順美学「ピストルオペラ」

山口小夜子さんが亡くなったというニュースをみて、「ピストルオペラ」をまた観てみることにしました。ピストルオペラは前から大好きで何度か観ている映画でした。中でも山口小夜子さんのキャラクターはダントツ光っていました。

大学生の頃に、東洋美術か何かの授業でこの映画を流していて、はじめて観た時は意味も良さも分かりませんでした。でも友達が絶賛していたこともあり、なぜか頭にはずっと残っていて、再び観てみたらハマってしまいました。
最初は怖いものみたさに近い感覚で観ていたけど、鈴木清順監督の映画は慣れてしまえば気持ちいいものです。意味が分からない動作、作りすぎている演出、若干会話になっていない台詞、独特な間、人と人との距離(近すぎたり遠すぎたりする)が、観ているうちに気持ち良くなってくるんです!怖さと面白さが混じって快感なんです。
あとはなんと言っても美術がすごい。『映像美』ってことで選ぶなら「ツィゴイネルワイゼン」や「陽炎座」「夢ニ」の方が素晴らしい芸術作品だと思います。でも「ピストルオペラ」は「美」に「チープさ」が入って、更に意味が分からないことになってるんです。安心して観ていられない、狙いがよく分からない、笑ったらいいのだか、怖がればいいのか。それこそ人の夢の中のチグハグな世界をうっかり覗き見させてもらっているような、落ち着かない気持ちにさせられます。
特に『世界怪奇博覧会』という場所のセットは爆発してます。宮殿のような柱に、人体が沢山吊るされ(白骨化してるものから、腐敗したのも、死んだ直後のようなものまで…)劇画タッチのキリストの絵のパネルやら、ホルマリン漬けの胎児やら、とにかく狂ってます。悪夢です。全体的には、場末の遊園地の故障したお化け屋敷のよう。そこに狂った博士が住み着いて、勝手に博覧会をはじめてしまい、もう誰も止められない、みたいな…。そこでの江角マキコ(野良猫)と山口小夜子(百目)の殺し合いシーンは必見です。かっこよくて怖くて笑えます(ちょっとキル・ビルを思い出します)

江角マキコさんの着物がかっこいい。どの着物も最高です。私は着物に詳しくないけど、この着物たちだけでも観る価値ありってくらいどれもツボでした。基本、黒なんですが、やっぱ着物は黒ですねー。

それに山口小夜子さん。亡くなったというニュースで、沢山のデザイナーがコメントを発表していたのを聞きました。その中に「彼女自身が表現者だった」と言うようなコメントがありました。ほんとに「ピストルオペラ」を観ていると、山口さん自身のオーラというか、風格が他の人とは違うことが一目瞭然。あの役は山口さん意外考えられません。浮き世離れした空気と品の良さにやられました。映画の中の台詞で「どうせ死ぬなら花々しく死にたい」ってありました。まだ若いのに亡くなってしまったのは残念ですが、亡くなる前にこんな「ピストルオペラ」のような山口さんの味を生かしきった映画に出演することができて良かったのではないかなと、勝手に思いました。
そんな勝手に追悼・山口小夜子な一日でした。

鈴木清順監督の一番最近の「オペレッタ狸御殿」は、ラップが始まった時点でギブアップしたけど、この独特な世界観で次は「和製・不思議の国のアリス」なんて観てみたいな〜って妄想してます。シュバンクマイエル、テリーギリアムに続け!と。
でもラップだけはナシでお願いします。
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by pop-cult | 2007-08-22 20:12 | 日本の映画