アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox

「バンデットQ」ギリアムの暴走はとまらない

最近、渋谷のツタヤの「SF・ファンタジー」コーナーに気が付くと足が向いていて、地元のツタヤにはないようなマイナーな映画を借りたりしてます。
ファンタジーってジャンルのものはとりあえず気になっちゃって、「これはきっとしょっぱいなー、がっかりするんだろうなー、CG安っぽいんだろうなー」ってなんとなくは分かっていても、つい借りてしまうんです。たまーにそんな中に「レジェンド(トムクルーズが痒いけど、美術が良かった)」とか、「なにかが道をやってくる(結構ホラーでおもしろい)」とか当たるものもあるからやめられないんです。

でも「バンデットQ」は監督がもともと好きなテリー・ギリアムだから、そんなにつまらないことはないだろうとは思っていたし、80年代のファンタジーが好きだし、小人が登場するって書いてあったから、「これは当たるかも」ってちょっと期待もありつつ観てみました…。が、確かに面白かったです。好きか嫌いかで言ったら好きなんだけど、久々のギリアム節(?)に本当にびっくりしちゃって、また観終わってしばらく考えてしまいました。(この先ネタばれあるので、これから観る予定の方は読まない方が楽しめるかも)

そもそも「小人」ってキーワードで面白そうって思ってしまった私は、最初ティンカーベルとか妖精的な小人をイメージしちゃっていたから、うるさい汚いちっさいおっさんが6人出て来たときには「小人ってこれかい!?」って笑ってしまいました。「あ、これギリアム映画だったんだ」ってことを思い出させられました。ギリアム監督にキラキラしたファンタジーなんてあるわけないのに、彼の映画を心構えなしで見始めると、始まってすぐに度肝をぬかれます。彼の映画は何本か観てるのに、今回も忘れていて驚いてしまいました。

その小人たちというのは、万物の創造主の下で働いていたけれど、仕事に嫌気が差してしまい、タイムホールが書かれた地図(あらゆる時代、国を好きに移動できる)を盗んで逃げ出してきたというダメダメな小人たちなのです。
彼らはケヴィンという11才の少年の部屋に突然現れて、そこに地図を取りかえそうと怒り狂った創造主の巨大な顔が追いかけて来たので、ケヴィンも巻き込まれ、小人たちと一緒に逃げる羽目になるのです。

そこからはいかにもギリアム的な、なんでもありのタイムトラベルが始まります。背が小さいことを気にしているナポレオンや、泥棒のロビンフッド、ギリシャ神話に登場するアガメムノンという王様(なぜか手品好き)など、あらゆる有名人(?)をおちょくっているようなキャラクターが登場します。小人たちは彼らを騙して宝を盗んでは違う時代に逃げるというひどい奴らなんですが、他のどのキャラクターもダメダメで、子供のケヴィンだけがまともなんです。
気が付けば、「バロン」も「ローズ・イン・タイドランド」も出てくる大人はみんなダメ人間で、その大人に子供が振り回されるっていうのが、ギリアム映画の基本スタイルのようなものでした。確かに大人になると子供の頃には分からなかった汚さとか嘘に気が付いちゃって、それによって大人って逆にバカになる部分ってあると思うんです。気付いたことで子供みたいに純粋ではいられなくなって、弱くなって、自分を守るようになったりして、考えなくていいことまで考えるようになった結果、ちょっとバカになるっていうような…。だからギリアム映画って変な所が現実的で、笑えるような笑えないような複雑な心境になるときがあります。

「万物の創造者」は、ものすごいインパクトのあるビジュアルを想像させておいて、最後の方でやっと全貌が明らかになると、なぜか普通のスーツを着た会社員のようなおじさんで、オーラもなにもないんです。ケヴィンはずっと一緒に旅して来た小人たちにも最後は裏切られるような感じになるし、現実世界に戻って来ても、なぜか家は火事、両親(この二人の大人もやっぱりアホ)は爆発して消えてしまうという散々な目に合います。「ケヴィンは可哀相なだけじゃん!そもそもこの映画、何が言いたいの!?」という、見始めてからずっと感じていた疑問は最後にはさらに大きくなり、そのまま映画は終了。

普通の映画って、何かしら観客に伝えたいことがあったり、楽しませたいとか、感動させたいとかあるけど、この映画はそれが全然分かりません。それに普通の映画って、「子供向け」とか「20代のカップル向け」とか一応狙いの客層ってあるものだけど、この映画はそれが全然見えません。かろうじて「大人ってひどい」ってところが教訓みたいなものだったとしても、「そんな映画ってひどい」と言い返したくもなります。
でもなんだかんだ言っても、彼のブラックで独特な世界観はやっぱり好きだし、ここまで我が道を突っ走っているギリアム監督には恐れ入った「バンデットQ」なのでした。

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by pop-cult | 2008-07-23 00:25 | 70s・80sファンタジー