アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox

「アキュムレーター1」のあの感覚。

昔から、夜に寝て見る夢が面白すぎて、そのまま映像化できたらいいのになーって妄想してます。リングの貞子みたいに、念じてそのままフィルムに焼き付けることが出来ればいいのにって…(貞子的には全然違うよってかんじだろうけど)
私の夢はだいたいの場合、知ってる人も知らない人も大勢出てきて、いつもガヤガヤしています。広い建物がよく舞台になっているけど、階段の場所とかなにかが変で、外の景色も奥行きがないように見えるし、なぜか作り物みたいに不自然なんです。とにかく口ではうまく言えない感覚なんです。「アキュムレーター1」はそんな夢の世界みたいな映画でした。あの感覚の映画なんです。


簡単なストーリー…『主人公オルドは冴えない男。テレビの街頭インタビューを受けてもカミカミ。女にも振られて生きる気力を失っていたら、突然意識不明になり病院に運ばれる。病院の診断では彼の体は健康そのもの。けれど、そこに現れた自然学者と名乗るフィサレクというおじさんによると、オルドは何かによって生きるエネルギーを吸い取られているらしい。数々の実験を重ねた結果、その原因はどうやらテレビにある事が判明。オルドはリモコンを武器に「テレビ」と戦うことを決める…。』

監督はヤン・スヴィエラークという、どうやらチェコの名匠と言われている方で、この「アキュムレーター1(1994)」の後には「コーリャ 愛のプラハ」とか「ダークブルー」とか真面目な映画を撮っているようです。でもそんな監督がこんなに奇想天外な映画を撮っているとは、かなり疑問です。ぶっ飛んでます。

「テレビの世界」ってものが存在するって発想はわりと誰でも思い付くものだと思います。自分がどんなにテンションが低くても、テレビをつけるとみんなすごい笑顔で自分を完全に無視してどんどん話が進んでいくし、生きるか死ぬか!?みたいな場面が写っていても、電源をぽちっと切れば最初から何もなかったかのようになるし。
でもこの映画のテレビが「エネルギーを吸い取る悪いモノ」って発想は新しい感じがしました。もう一つの世界っていうより、敵なんです。エネルギーが吸い取られて意識が無くなると「テレビの世界」に自分の意識が行ってしまうんです。その「テレビの世界」は何でもありのあべこべな世界で、一見楽しそうなんだけど、オルドはすぐに「これはまずい、こんなところにいてもダメだ!現実を生きるんだ!」と気がついて、自然学者のちょっと怪し気な「エネルギーを取り込む実験」を試していく所が面白いんです。

そんな感じで単純にストーリーがすごく面白いんですが、もっと気に入っている所は映像の取り方とか、独特な展開の仕方とか、所々「何故?」ってシーンが入り込む所。「テレビの世界」のシーンは、やけに人が沢山いて常に騒がしくて、一見広くて美しい湖があっても太陽ではなく照明の灯。現実世界のシーンもどこか不自然で、うまく言えないけどとても不思議なあの感覚なんです!なんとなく自分の夢を映像化したモノを見ているような、奇妙な気持ちにさせられました。

たとえばオルドが車を運転していてカタツムリを轢きそうになってギリギリでハンドルをきると、カタツムリがものすごい早さで振り向く所とか。注射をいたら血管の中が、歯医者にいけば歯が削られている所が、ジョギングすれば揺れている臓器が、もの凄いアップで写るところとか。病院のナースたちがやけに露出してるところとか。現実のはずなのにどこか不自然でおかしい、ストーリー的には無くても平気な謎のシーンが沢山あるんです。でもそんなシーンがどれも面白くて、最初は独特な世界観に慣れるまで難しく感じる所もあるけど、難解映画とは違って素直に見ていれば話も分かるし、とにかく笑えるんです。リモコンをニ丁拳銃のように両手に持って、テレビの電源をどんどん切っていくシーンもあります。途中、タマ切れのように車の陰で電池を交換するシーンはあまりにもバカバカしくて爆笑でした。

気がつくとテレビの世界に入ってたり、現実に戻ってたり、その境界線がいい意味で分かりづらいところは「パプリカ」に近いものを感じました。展開の面白さと、現実世界も奇妙な所は「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」も似てます。ちょっとエロくてグロい要素は「ブリキの太鼓」的だし、冴えない主人公の応援したくなる恋には「フローズン・タイム」を思い出したし、笑えるおじさんたちには「スパニッシュ・アパートメント」のセドリック・クラピッシュ監督のセンスも感じました。
要するに私が大好きな要素がてんこもりってことです。大好きのど真ん中って言えるくらいの大ヒットだったので、早速アマゾンでDVD買いました。見かけたことも聞いたこともない映画だったけど、借りてみて良かったです。しかもこの映画、ブリュッセル映画祭とか、ゆうばり国際映画祭とか、いろんな映画祭で賞を沢山取っていたみたいです。やっぱ賞とかとってる映画はなんか違うなー、ただならぬパワーを感じます。

「もしこの映画みた人いたらコーヒーおごるので、じっくり感想を聞かせてください」
そんな感じです。

b0112607_11573643.jpg
b0112607_11585393.jpg
b0112607_11592182.jpg

アキュムレーター1

ハピネット・ピクチャーズ

スコア:


[PR]
by pop-cult | 2008-08-13 12:07 | 外国の映画