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アクセサリー作家でちょっと映画オタクな大竹真奈実のブログです。ファンタジー、妄想系映画多め。制作しているプラバン+ビーズ刺繍のアクセサリーのことやSCHOLE活動日記も。

by ohtake-j-fox
2011年のハリウッド映画「赤ずきん」を観ました。先に言っちゃうとそんなに面白くなかったのですが、グリム童話が元の映画はチェックせずにはいられなくて… 予告を見たときに感じた「これは違うかな…」がまさに的中してしまったパターンです。

ストーリーは、あの有名な童話の赤ずきんとは違って、「森の中にひっそり存在するその村では、満月になると狼が人を襲いにくるという伝説がある」ということ。「マンマ・ミーア!」のアマンダ・セイフリッドが演じる美しい少女ヴァレリー。彼女の姉が、狼に殺されてしまったことから、村はパニックに陥る。狼を捕まえてもらおうという村人たちは、一部の村人の反感を買いつつ村に呼んだのは、その道に精通しているというソロモン神父(ゲイリー・オールドマン) 彼は村に着くなり「人を殺したのは狼ではなく、狼人間の仕業であり、狼人間はこの村人のだれかだ!」と宣言。村人の狼人間探しが始まるのでした。

「村の言い伝え」だとか、「狼人」とかって、私がわくわくしてしまうタイプの映画なのですが、この映画は始まってすぐに、主人公ヴァレリーとメンズ2人の三角関係の話が出てきます。ヴァレリーが昔から好きな黒髪ワイルド系メンズ、彼にはお金はないけど二人は両想い。で、もう1人は、ヴァレリーの母親がオススメの、お金があって品がある金髪のメンズ、彼はヴァレリーのことが好き。
…でた、この少女マンガ的な流れ。二人のイケメンから言い寄られる系女子!!!なんだかトワイライトっぽい雰囲気だな〜なんて思っていたら監督同じ人だったという、どおりで…。
もう童話ホラー映画にそんな少女漫画的演出いらないよ…せめて本当のイケメンを連れてこい、と思いました(金髪はまだしも、黒髪なんて全然かっこよくないので更にイライラ)

でも、最後の切り札、ゲイリー・オールドマンが出てきたら楽しくなるでしょう!と期待を込めていましたが、違和感しかないような役柄でがっかりしてしまいました。人狼殺しに一生懸命になるあまりに、ちょっとおかしな人になってしまっているソロモン神父。なんだか中途半端で残念な人物でした。善でも悪でもどっちでもいいから、もっとカリスマ性爆発したような人物だったら良かったのに…。

ちょっと飽きそうになりながらも見続けていたら、話は途中から三角関係+人狼(犯人)探しになってきて、ほとんど「一体犯人はだれ!?」というようなそれだけの展開に…。映画というよりテレビドラマっぽい流れでした。もう少し、誰も知らなかった村の歴史が判明したりとか、神父が活躍したりとか、本当は人狼じゃなかったとか、赤いずきんに大きな意味があったとか、そんな映画が深くなっていく要素が欲しかったです。

最後はまずまず意外な人物が狼人間であることが分かって「なるほどなー」と一応なります。最初からたいして面白くない分、最後のオチに対する期待も低かったので、単純に「アイツが犯人だったのかー」と思えました。

この映画で一番良かったシーンは犯人が見つかった後。その人狼を殺して、村の人たちに本当の人狼が誰だったかを知られないようにと、お腹を切って中に石をたくさん詰めてお腹を縫い直し、犯人を湖に沈める所。童話の「赤ずきん」の有名なメピソードがこういう風に登場するとは、面白い!こういうシーンをもっとグロく面白く撮ってくれよ、監督さん!黒髪メンズとヴァレリーのいちゃつきを金髪メンズが目撃、そして嫉妬、とか全部カットしていいから!!

ヴァレリー役の人がほんとうにかわいくて絵になっていたのは良かったのですが、美術もあまりお金がかかってない感じがするし、衣装も今ひとつ物足りなかったです。ヴァレリーの母、祖母、父、全員若すぎて違和感あるから配役ミスってるし、ゲイリー・オールドマンの無駄使いも気になりました。童話モチーフの映画は好きだけど、この監督とは相性悪いみたいです。

ホラー&ファンタジー&ゲイリー・オールドマンと言えばやっぱり「ドラキュラ」です。最近亡くなった石岡瑛子さんの衣装も最高だし、追悼の意を込めて、このモヤモヤを晴らすべくもう一回観直そうかと思いました。
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# by pop-cult | 2012-02-06 23:14 | ファンタジー映画
渋谷のシネマライズの前を通るたびに気にしていたけど、これまた時間は早く通り過ぎ、またまた準新作100円レンタルで借りちゃいました。『ソウルキッチン』心の食堂という名前のちょっとさびれた大衆食堂のお話です。

『ドイツのハンブルグでレストラン「ソウルキッチン」を経営するジノスは、微妙な経営状態のレストランを続けるべきか、仕事で上海に旅立ってしまった恋人を追いかけるべきか…と、なんだかモヤッとした日々を過ごしている。そんなときに実兄が仮出所をしてきて「レストランで働くフリをさせてくれ」との申し出があったり、税務署に税金の支払いを命じられたり、衛生局からはキッチンにダメだしをくらい、重い食洗機を動かして腰を痛めたりと、次から次へと困難が降り掛かる…。しかしひょんなことから新しいくせ者シェフを雇ったり、兄も実際に働きはじめてなんだかんだでソウルキッチンは大繁盛!…とおもいきや……』

はじまってすぐにいまいちイケてない主人公に好感が持てました。もさい雰囲気に不機嫌な顔、原因は恋人が離れていってしまうから…かわいい… そして映画の舞台である“ソウルキッチン”の雰囲気も、雑さがちょうど良く好きでした。ジノスが上手いのか下手なのか分からない手つきで作った、揚げた魚とか食べてみたいと思いました。タイトルにキッチンとついているから、おいしそうな料理がもっと頻繁に登場するかと想像していたらそうでもなく、妙なリアリティを感じる設定でした。

後からプロフィールを読んだら、ジノス役の人は実際にレストランを経営していた経験があるようで、しかも本作の監督も友達で、そのレストランによく行っていたとか。それで共同で脚本を書いているというのです。お店がにぎわっていたり、ガラガラだったり、そんな差が極端な感じは、もしかして経験がそのまま出ているのか、ちょっとリアルで面白かったです。大きな会社の話ではなく、個人がはじめた小さなお店ってこんな感じなんだろうか、と身近に感じられたのも良かったです。

ジノスのなんともぱっとしないキャラクターを中心に、周りの人間のキャラクターも変な人ばっかりで面白かったです。近くに住んでるおじいちゃんは、レストランでイベントをやっていると「うるさい」と文句を言いながらもヘッドホンつけて食事しているし、新しく雇ったくせ者シェフの気取りすぎて大衆に受け入れてもらえない料理も黙々と食べているし。そんなストーリーに直接関係ないようなコネタで結構笑えました。ジノスの腰が限界に達し、ついに整体に行ったときも、ただ怖がっているだけなのになんか笑ってしまいました。どうってことない出来事なんだけど、間とか演技とかがなんとなく面白くて、そこがこの映画の一番の魅力かなと思いました。

大まかなストーリーはちょっと強引でリアリティないけど、人間味があるし、基本はコメディだからそこは許せました。映像や美術には力が入っている映画ではないけど、ソウル・キッチンにはなんとなく行ってみたいと思える魅力があります。ちょっと違うけど「スパニッシュ・アパートメント」とか「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」みたいな、人間関係のごたごたコメディ(でもうっかりしてると泣きそうになる)が元々大好きな私はお気に入りの1本になりました。おすすめです。
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# by pop-cult | 2012-01-23 23:15 | 外国の映画
だいぶ久々の更新になってしまいましたが、読んでくれている人がいたらありがとうございます!あまり映画館には行けてないけど、観た映画のことを今年もちょこちょこ更新していこうと思いますので、宜しくお願いいたします。

まずはやっと観れた『アデル』!女性版インディージョーンズを、「レオン」「フィフスエレメント」のリュック・ベッソン監督が撮った!ということで、公開当時から気になっていたけど、気づいたら旧作レンタル100円で借りれてしまいました。月日が経つのがどんどん早くなっていく…それはさておき。

「美人ジャーナリストのアデルは、行動力抜群で勇猛果敢な突進型タイプ。仮死状態の妹を救うための“秘薬”を探してエジプトのミイラを勝手に拝借し、だれも思いつかないような計画を企んでいた。同じ頃、パリの博物館では、恐竜の卵の化石が孵化し、街の人々を襲うという事件が勃発していた。それはアデルが信頼を寄せるジュラ紀の専門家、エスペランデュー教授が行った復活の儀式によって蘇らせてしまったものだった。」

インディージョーンズとの共通点としては、次々にあり得ないことが起こっても危機一髪で助かるという、お約束映画って所ですが、そもそもこの映画は、意外と冒険していません。最初の20分くらいエジプトで殺されかけたり、死にかけたりのごたごたがありますが、その後はほとんどパリでの話。そこはさすが女性が主人公という感じでした。

ザ・ハリウッド映画の雰囲気かと思っていたら、やはりフランス映画はアドベンチャー映画といってもフランスらしさはしっかり残っていました。音楽がアメリみたいなかわいいアコーディオンの曲が使われていたり、言葉もやっぱり英語と違ってフランス語は耳障りがなめらかで新鮮でした。

あとはあまり期待していなかった、衣装とか美術がすごく素敵でびっくりしました!主人公アデル役の人がすごく綺麗なので、そこも楽しみの1つでしたが、そんなに衣装がころころ変わるような映画とも思っていなかったから、意外な所でした。そもそも本当に「冒険」に力を入れた映画だったら、衣装がそんなに沢山登場しないから…って話なので、その衣装替えを楽しめるか楽しめないかで、この映画の感想はだいぶ変わってくる気がします。衣装と美術で「かわいいー!素敵ー!」ってなれた私はこの映画結構好きですが、冒険ストーリーを期待していた人にはきっともの足りないと思います。殺させそうになっても笑って見ていられます。虫がうじゃうじゃ出てくる心配もいりませんでした。

アデルのお風呂シーン(サービスショット)からの、大急ぎで出て行くシーンで、アレだけ急いでいるのに素晴らしくめかしこんだアデル。
一体何秒でそこまで綺麗に髪をセットして、服のコーディネートまでできちゃうんだい?映画につっこむの大好きな私は黙っていられないシーンだったけど、もうかわいいからなんでもいいかーとなっていました。演出も編集も基本的に雑で、1回見ただけでシーンが切り替わっている所で繋がってない箇所を発見できちゃうくらいのお粗末さでしたが、ビジュアル面が私としては素晴らしいから許せてしまいました。もう内容はB級映画と捉えればいいんだと思います。

すこし近い映画として「シャーロック・ホームズ」を思い出して比べてしまうと、あれは美術、衣装に、話も面白くて笑いのセンスも光ってて完成度が高すぎるから、アデルはちょっと途中飽きてくるし、まずまずの完成度でした。でも「ナイトミュージアム」みたいなわいわいする話を楽しめちゃう人は楽しめる映画だと思います。
明らかに続編作ります!って雰囲気で終わるので、次回作があったら映画館で見てもいいかも、と思いました。

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# by pop-cult | 2012-01-16 11:56 | 外国の映画
とにかく主人公のかわいさが同じ世界の人間とは思えません。1969年のちょっと不思議でおしゃれでエロい、変わった映画『CANDY』を観ました。

純粋無垢で美しい主人公キャンディ。彼女の少女らしいあどけなさと色気が混ざった独特な魅力に、出会う男はみんな彼女に対してエロい願望を抱いてしまう。行く先々でいろんな男達に迫られてしまうキャンディ。通う高校の教授…、家の庭師…、パイロット…、医者…。そんな娘を助けるどころか「またか」と笑う母親、「娘だから自制しなくては…」と頭を悩ます父親、「いつか俺もキャンディと…」と企む父の弟…。キャンディを取り巻く普通じゃない人々。不思議なエロいの世界に迷い込んだようなオシャレで笑えるファンタジー映画、といったところです。

前に見たときはそんなに好印象ではなかったのですが、久々に見返したら面白かったです。時間が経つとまた違った視点で見ることができて、印象が変わるときがあるのは映画の楽しみの1つです!

本当にバカバカしい映画です。どのシーンのセットも音楽も衣装も、チープだけどオシャレでかわいいのですが、登場人物がここまでみんなおかしくて笑える映画だったとは…。初めて見たときは映画の独特な世界観にただ付いていくだけで、細かい笑いには気づけていなかったのですが、今回はしょっちゅう吹き出していました。キャンディ以外、みんなキモい!

高校で大人気の教授なんて、生徒達がみんな講義中に「キャー!!」と大歓声をあげるのですが、とても気持ち悪いおじさんで、アホらしい詩を朗読しながら常に風があたっていました(TMレボリューション的なアレ)
キャンディに一目惚れし、訳の分からないくどき文句を使って車の中にキャンディを誘い込んで襲いかかります。(このシーンの映像の撮り方はとても斬新!)
でもそのあとなぜか気が狂ってしまい、心やさしいキャンディの自宅に運び込まれて、看病されるのですが、途中でなぜかキャンディに似ている人形を見つけて襲いかかります。これはなかなかの問題シーンですが、おかしなテンションでやりきっているので、『空気人形』の板尾さんよりは清々しく笑えました。人形にのっかっている所をキャンディの家族に見られて気が動転した教授が「おくつろぎ下さい!」と叫ぶシーンは爆笑でした。あなたの家ではないし。

そして「ぼくはいい子?」が口癖のリンゴ・スターも出ています。世界のビートルズがこんなキモい役をやっていていいのでしょうか。似合ってますが…。
やぶ医者がキャンディのお父さんを手術するシーンも笑えます。患者を殺しかけて助手に逆切れしたりします。ちょっとキューブリックの映画に出てきそうな怖い医者でした。医者も看護婦も患者も全員病気のここのシーンはなかなかホラーでした。この病院のシーンと、背中に大きなコブがある泥棒が出てくるシーンは何となく『時計じかけのオレンジ』と似た雰囲気を感じました。怖いけど笑えるけど怖い…。

最後にキャンディを抱いていたのがまさかの人物で、これが一応この映画のオチなのだろうと思うのですが、これもまた結構キモいです。最初は話の流れが一応あるのですが、終わりが近づくにつれてどんどんおかしな流れになってきて、ちょっと精神世界みたいなシーンになって、最後はキャンディの願望なのか何なのか、現実ではないような終わり方で色んな解釈ができて、だいぶキモいんですが好きでした。

あとは本当に主人公のかわいさにはうっとりします…。彼女のかわいさがこの映画の魅力の半分以上を占めています。淡い色で、ふわっとしていて透けるような素材の、腰がきゅっとしていて丈がすごく短いワンピース姿なんて最高です。見ていると「女の子っていいよね…」としみじみ思っちゃうくらい素敵なんです。でもどれも現実の世界で着ている人がいたとしたら露出狂です。

前に映画好きの友達Tちゃんと「エロに関してはもっとやりきってほしかったよね」という話をしてたこともあって、確かに思ったよりエロくはないので中途半端に感じる映画かもしれないですが、「オシャレだけどバカバカしい映画」という視点で観ていくとなかなか斬新で内容も楽しめると思います。
原作はどうやらベストセラーらしいのですが、全然想像がつかないので読んでみようかと思いました。
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# by pop-cult | 2011-12-05 22:59 | 外国の映画
『落下の王国』『ザ・セル』のターセム監督の新作『インモータルズ 神々の戦い』を先日観ました。1人で近所の映画館に自転車を飛ばしながら「ターセム監督の映像美の世界に、新しいギリシャ神話の世界にトリップだー!」と、うきうきしながら向かいました。しかし映画館に着くと、 そこはおっさん3人と私のみ。人気ないなー、想像以上に。なんて思っていたら、なぜか女子高生らしき2人が入ってきて、劇場内6人で不安だらけの映画の旅がスタート…。おっさんと女子高生はこの映画を観て何を感じたのだろうか… 私は… うーん。少々ネタバレもしつつ、辛口にいこうと思いますので、観るのを楽しみしている方は、この先を読まない方がいいと思います…。

ストーリーは、「世界を乗っ取ろうと考える悪者ハイペリオン。彼は昔オリンポスの神々が地底に閉じ込めた邪悪なタイタン族を解き放とうとしている。ハイペリオンに母親を殺されてしまったテセウス。彼はハイペリオンを滅ぼすことができる唯一の存在として神に選ばれる。ハイペリオンを阻止すべく神々とテセウスが立ち上がる」
…って、なんだかありがちな話です。

でも観る前は、ギリシャ神話だから難しくて付いていけないのではないかと心配してしましたが、深読みしたくても出来ないような内容の無さ…。始まってすぐに、閉じ込められているタイタン族のシーンが映ったときには『ザ・セル』の映像と近いものを感じて、「かっこいい…面白くなりそうな予感だ…」なんて思っていましたが、一向に面白くなっていかないことに驚きました。

それでも大好きなジョン・ハートが登場した時には「キャー!出てたんだ!?」とテンションが上がって、しかも全能の神ゼウス(で、合ってるかな)が、人間の世界にいる間だけ老人の姿となってるという、その老人役で妙にはまっていました。(ちなみにジョン・ハートはハリポタで杖造りのオリバンダー役や、インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国などにも出演しているおじいちゃん俳優です)神だとバレないようにテセウスを見守ってるという、すごくかっこいい役だし、あの独特な声がたまりません。しかし、ゼウスが本当の姿を表すときの、安っぽいCGの演出には「この完成度、いいの!?」という疑問がすでに頭をよぎりました。

町、というか村の面白い美術には興味深々になりながらも、ちょっと先が不安になりながら見ていたら、思っていた以上にどんどん人が殺され、画面は血みどろ。ファンタジー的な要素が満載の美術や人選なのに、やけにグロテスクなシーンが多くて、一体どこに向かっている映画なのか、更に不安が大きくなってきた頃に、ミッキー・ローク演じる超悪党のハイペリオンが、村のホロコースト現場に登場。

その姿を見て、私は一人映画館で吹き出しました。
本来「怖い!!」って、ならなくてはいけないシーンに現れたのは、面白すぎる衣装を着た汚いおじさんでした。ロブスター?みたいなちょっとかわいいかぶり物で現れたそのおっさんこそがハイペリオンって…、どうして「この衣装は怖いっていうより、面白くなっちゃうから、やめた方が良くない?」って誰も言わなかったのか。
慌てて「やばい、ここ笑う所じゃないんだ」と笑いをこらえてみたけど、もう後には引き返せません。監督に、衣装に、製作に、素晴らしいスタッフを集めておきながら、全員が違う方向に向かってしまって全員の才能を殺し合ったような…そんなシーンでした。

そこから先も、とくに寝ないで観れましたが、面白くなることはなく、ちょっとしたラブシーンとかもだいぶ無意味で、なんだか残念な気持ちになりました。途中から頭に浮かんできたのは「笑わせるつもりがなく作ったキル・ビルみたいな映画だな…」でした。
やけに残酷なシーンが多くて、本来素晴らしいはずの美術や衣装や映像も、笑い飛ばせたらまだいいけど、そうじゃないし…、モヤモヤしっぱなしで、後半にはもうどうでもよく思えてきました。

1番最後にまたジョン・ハートが登場して、テセウスの息子と話をして終わるシーンはすごくかっこいいんだけど、本当に素敵だったのはそのシーンくらいでした…。なんだかもったいない。
すごく期待していた石岡瑛子さんの衣装も、あれではちょっと良さが出てなかったです。ポスターはかっこよく感じるから、きっと衣装そのものが悪いわけじゃないけど…ああ、もったいない!

ターセム監督にはぜひ「300 スリーハンドレット」の制作陣とはもう別れていただいて、次回作を頑張ってもらいたいと思いました。
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# by pop-cult | 2011-11-28 23:15 | 外国の映画